現在勤めている会社の退職金制度ですが、数年前に従来の会社が積み立てるやり方ではなく、自分自身で運用し、管理していく企業型確定拠出年金というものに切り替わりました。
こちらの記事でも企業型確定拠出年金について触れています。
最近その個人型であるイデコが話題となったことで、確定拠出年金について知っている方も多くなってきているのではないでしょうか?
しかしこの企業型確定拠出年金、私は現状についてとても危機感を持っています。
実際には運用していない人が6割以上
制度の変更があった当時、なぜ自分で運用しなくてはいけないのかと社員全体が反対の雰囲気でしたが、結局制度は変わりました。
そして、運用の基礎などの説明会が2度ほど実施されただけで、あとは各自頑張って下さい!という感じで、いきなり任されてしまったんですよね。
私は、もともと投資についての知識がある程度あったので、60歳以降に使うことを考えて最初はリスクをとり、徐々に元本保証型に切り替えていくことにしていました。
ですので、額は小さいとはいえここ数年の上昇相場のおかげで、会社想定の利回りを大きく超えたパフォーマンスで推移しています。
しかし、周りに聞いてみると、元本保証型にしている方が多いようでした。
私はその都度、それでは老後に充分な年金として受け取れないのでは?と言ってきましたが、ほとんどの方は、それでもリスクのあるものにするよりはマシといった感じで、私もそこから深くは突っ込めず、そこで会話は終了となるんですよね。
そんな感じのまま数年が経ち、最近現在の運用状況についての説明会がありました。
その時の資料を見ると、やはり未だに6割以上の方が元本保証型であり、想定利回りを全くクリアしていない状況だったのです。
想定利回り2.5%に対して実際の平均利回りは1.1%
その時に配布された資料を、より詳しく見てみたいと思います。
私の勤める会社は、社員が1000人以上の一応大手に入る規模の会社なんですが、想定利回りが2.5%に設定されているにも関わらず、実際の利回りは1.1%とかなり想定を下回っている状況です。
そして、想定利回りを達成している割合は、グループ全体の20%程度しかいないと言うことが分かりました。
新入社員から定年退職まで勤め上げた場合、役職や職種によってばらつきはありますが、年利2.5%を達成できていれば、1800~2300万円程度の退職金が見込めます。
しかし、ずっと定期預金にした場合はほとんど増えていかないので、上記の金額より1000万円近く少なくなってしまうのです。
グループ内の保有商品の約6割が定期預金になっているということは、6割の方がこのまま行くと、退職金が1000万円以下になってしまう可能性もあるということですね。
これでは、老後の資金計画も狂ってきてしまうのではないでしょうか?
制度を取り入れた会社は、社員のためにもっと深く勉強会をするべき
以前にも書きましたが、退職金はかなり大きなお金ですよね。
それなのに、この状況が続くと想定の額には到底及びません。
正直、説明会で多少投資について触れた程度で、いきなり運用してくださいという状況では無理があります。
本当に社員のことを思っているのであれば、もっと勉強会をするべきであると思うんですよね。
資料を見ると、ここでもマネーリテラシーの有無によってかなり差が出ていることが分かりました。
この企業型確定拠出年金は、運用する会社のHPにアクセスしてその運用状況や運用商品の切り替えなどを行うのですが、サイトへの総アクセス数に対して、ほんの一部の人しかアクセスしていないということが書かれていました。
ということは、そのほんの一部の人が頻繁にアクセスしいるということになりますので、おそらく定期的にアクセスしている方のみが、高い利回りを達成している状態であると思われます。
今までは、マネーリテラシーが高くても低くても平等に貰えていた退職金が、このままだと、低い人は将来困ることになってしまいますよね。
この結果を受けて、会社側にももっと動いてほしいと思います。
まとめ
今回、私の会社での例でお話しましたが、年々採用する会社が増えている現状を考えると、このままでは、日本全体の問題になりかねません。
この制度は、もともとアメリカの制度を真似たものですが、そもそも、日本とアメリカではマネーリテラシーのレベルが全然違うのです。
投資についてもともと消極的で知識もない日本人に、いきなり退職金という大金を任せるって、冷静に考えると、上の人たちは何を考えているのだろうか?と正直思ってしまいます。
ただ、こういった状況を見ると、今後はもっと自己責任の社会になっていくのではないかと思います。
公的年金も先行き不安しかありませんし、自分自身を守るのは、国ではなくやはり自分自身しかいないのだということを、よく考えなければいけないときなのかもしれませんね。
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